neutron Gallery - 小倉 正志 展 『メトロポリス・ ファンタジー』 -
2010/1/19 Tuet - 31 Sun gallery neutron kyoto


profile
小倉 正志 OGURA TADASHI

【略歴】
1963 京都市生まれ
1981 京都市立伏見工業高校 工業デザイン科卒業
1981 ゴーキ美術研究所でデッサン・色彩を学ぶ
1984 大阪デザイナー専門学校 グラフィックデザイン科卒業
1984〜 グラフィックデザインの制作・企画を中心に、web サイトの企画・編集や映画の宣伝用ツール、音楽CD・書籍の企画・制作も行なう

【主な個展、グループ展など】
1996 個展 / ギャラリー M(京都)
1997 個展 / ギャラリー マーヤ(大阪)
1998 個展 / 恵文社一乗寺店 アンフェール(京都)、ブリコラージュ(大阪)
1999 個展 / 恵文社一乗寺店 アンフェール(京都) 
2000 グループ展「思考」 / シティーギャラリー(大阪)
1996 個展 / カフェ&ギャラリー etw(京都)
2001 個展 / ギャラリーポエム(東京)
1996 個展 / neutron 5F gallery(京都)
1996 個展 / ギャラリーマーヤ(大阪)
2002 個展 / ギャラリー白川(京都)、ギャラリーポエム(東京)
2004 個展 / neutron B1 gallery(京都)
1996 グループ展「ミニアチュール展」 / ギャラリー島田(兵庫)
2006 個展 / gallery neutron(京都)
1996 グループ展「ミニアチュール展」 / ギャラリー島田(兵庫)
2007 個展 / ワイアートギャラリー(大阪)
1996 グループ展「ミニアチュール展」 / ギャラリー島田(兵庫)
2008 個展 / ギャラリー白川(京都)
2009 個展「祝祭の日」 / 文椿ビルヂング・ギャラリー(京都) ※neutron 石橋圭吾キュレーション
1996 グループ展「日本の東西版画工房展」 / ワイアートギャラリー(大阪)
1996 個展「21世紀都市」 / neutron tokyo 1F gallery + 2F salon(東京) ※neutron 石橋圭吾キュレーション

【イベント】
2004年3月・2006年3月 neutronでの個展に併せ、大野一雄舞踏研究所研究生の舞踏公演
(2006年の公演及び個展風景は、DVDに映像として保存)




statement

増 殖 す る 。 そ し て 進 化 す る 都 市 を 私 は 描 き た い 。


 1996年9月、自身の最初の個展が京都で開催された。あれから13年が経過しようとしている。その間、世界を揺るがす100年に一度のテロや恐慌も起き、今までの常識、価値観は失われ、新たな世紀のビジョンさえ見えてこない。
 20世紀に発展した現代都市は、増殖し、進化し、人間の限りない欲望の象徴となっている。そしてコミュニケーション手段もインターネットが普遍化し、我々は、24時間情報の虜になってしまったようだ。デジタル化した現代都市において、そこに蠢く人間はアナログである。
 私は絵を描く動機として、生命体としての現代都市を描くことを変わらぬ願望として持っている。その気持ちは益々高まるばかりである。最初の個展を開催した当初は、どちらかといえば、タッチの荒い、原色の生っぽさが印象的な作品が主流だったと思う。自分の作品に見られる抽象化したビルディングや色彩は、徐々にその性質や色、形を変化させ、より画面に融和したものとなってきた。それは制作を続けることで、自らの現代都市の姿が成熟している過程でもあると思っている。
  今までに描いた作品には、いくつかの作品スタイルがある。これからも常に進化しながら、作品の新境地を見せていきたいと思う。無国籍な都市として描いているつもりだが、以前よりも「TOKYO」の魅力は増している。最近、世界の映画監督がTOKYOをテーマに映像化しているように、世界の中のTOKYOこそが現代都市そのものなのである。


今 回 の 個 展 タ イ ト ル : 「 メ ト ロ ポ リ ス ・ フ ァ ン タ ジ ー 」

 4、5年前から作品には、円い形が描かれるようになってきた。これは希望や欲望を表現したものなのだが、植物に言い換えるならば、種子であり、それが萌芽した状態であろうか。今回の展覧会は、「ファンタジー」という言葉の持つ華やかさ、色彩感を通して、現代都市の表面的な華やかさ、楽しさ、それとは反対の空しさ、孤独を表現することを意図としている。
 発表する作品の中でも、自身の新しい展開としては、アクリル絵の具の「パールホワイト」を基調にしたシリーズである。すべてMサイズのワイドな画面で描かれている。この作品は、自身の最新の作品であり、「パールホワイト」という色との出会いが生み出したと言えるだろう。都市とは精神的に邪悪な部分も存在するが、我々の視覚には、演出されたショーウインドウのような、表面的な幸福感しか見えてこないのである。またこうした演出に面白く騙される場所が、都市の本質なのだと思う。
 今回の個展は、この他の作品も含め、M50、M30、F50、F20、S20、SM、F0の作品で構成される予定。