neutron Gallery - 大槻 香奈 展 - 『雲と石』
2010/11/16 Tue - 12/5 Sun gallery neutron kyoto


profile
大槻 香奈 OHTSUKI Kana

【略歴】
1984年生まれ、京都在住。
2006年 成安造形大学イラストレーションクラスを卒業後、フリーの商業イラストレーターとして活動を行い、その後2007年2月にFM802が主催するアーティスト発掘プロジェクト「digmeout」のアーティストとして選出された事をきっかけに絵画制作を行うようになり、日本・海外で作品発表を行い現在に至る。
現在、日本では年に約一度個展を開催している。
絵画表現と平行して、りそな銀行の宣伝ビジュアル・映画「アンを探して」の劇中絵画や本やCDジャケットの制作など、イラストレーションとしての作品提供も行う。

【個展】
2007 『再生回路』 / digmeout ART & DINER(大阪)
2008 『わたしの海について』 / 北鎌倉小舎(神奈川)
2009 『生み出す無』 / The Artcomplex Center of Tokyo(東京)
2010 『すべてになるそのまえに』 / neutron tokyo(東京)

【主なグループ展など】
2007 『FUNKY802 digmeout EXHIBITION 2007』 / 銀座ソニービル(東京)・マイナスケイプス(大阪)
2010 『digmeout Rides again!』 / Compound Gallery(アメリカ・ポートランド)
2009 『3 Pins On a Map II』 / Compound Gallery(アメリカ・ポートランド)
2010 『東京コンテンポラリーアートフェア2009』 / 東美アートフォーラム(東京)
2010 『やがて朝がやってきて 昨日沈んだはずの太陽を 今日もまた見ている』
2010 2010 2010 2010 大槻香奈・中村至宏(Calmloop)2人展 / エカイエ(東京)
2010 『ART Gwangju 2010』 / KDJ Convention Center(韓国・光州)

【illustration works】
2007 『幻は夜に成長する』・恒川光太郎(著) 挿画 / 「野性時代」第45号掲載
2010 『株式会社ハピネス計画』・平山瑞穂(著) 表紙画
2010 『CORE-O-RAMA Vol.2 』・ MOB SQUAD TOKYO CDアルバムジャケットイラスト
2010 『アホと呼ばれた80's』・岡力(著) 表紙画
2010 『厨房ガール!』・井上尚登(著) 表紙画
2010 『Minami Go! Round! with funky802.com』 宣伝ビジュアルポスター
2010 『りそな銀行 RESONART』 キャッシュカード・宣伝ビジュアル画
2008 『ランウェイ☆ビート』・maha(著) 表紙画・挿画
2010 『トーキョー語り』・辻村深月(著) 挿絵 / 「メフィスト」2009 年1月号掲載
2009 『ベイビィ、ワンモアタイム』・南綾子(著) 表紙画
2010 『待受★ジャム』・作品待ち受け画像 毎月配信開始
2010 『sunday girl in silence』・KAREN CD アルバムジャケット
2009 『アンを探して』・宮平貴子監督 全国公開映画 劇中絵で参加
2010 『空が分裂する』・最果タヒ(著) 挿絵 / 「別冊少年マガジン」2010年1月号掲載



statement
2007年から絵画を制作し始めて2009年まで、この間ずっと少女の感情や意志に寄り添って絵を描いてきた。
私は女であり、女性について考えることはとても身近であったし、それを表現をすることで自分の無意識を自覚したり、他人の心情に触れたりしながら、尽きることのないその世界を知る為なのか、気付けば少女ばかり描き続けていた。

「少女」というモチーフは表現をする上で、おそらく私の中で永遠のテーマになってしまっている。
命ある「女」というひとりの人間は、人間としてでなく「少女」や「母」や「娘」や、人々が作った様々なカテゴリーの中に入れられてその存在を確認している。
少女を描く事で、その感情の中に母なるものを見たり、あるいは自分の娘のように絵と向かい合ったりして気付くことは、やはり少女はどこまでいっても「生物」であり「人間」であるという事だった。

しかし2010年の2月、neutron tokyoで開催した個展「すべてになるそのまえに」からは、「少女」のアイデンティティにクローズアップする事はせず、少女とそれを取り巻く世界のありのままを、風景画のように表現する事を目標とした。
すると少女を表現して見えてきたものは、その性別や年齢や姿が何であれ、ただそこにいる、という事実だけだった。

良いか悪いかの話ではなく「感情を描き続けると狭くなる、ありのままを描くと広くなる。」
という事は絵を描き始めてからずっと感じてきたことで、表現活動の積み重ねの中で、やはり少しずつ広くなっていく事が私にとってとても重要だった。

今回の京都neutronでの個展では、そこから更に少女のアイデンティティから離れて広い場所へ行きたいと考えている。
人は生きていれば何かしらの意志を持つが、生きていく上でそれ以上に圧倒的な力を持つものは、自然現象からなる運命的なものだ。
しかしその運命も時として、強くて純粋な意志によって変えられてしまう事がある。
私達の意志はそう簡単に消える事はしない。
だからこそ、そこから離れて知らなければならない事がある。

自然の声に耳を傾ければ聞こえてくるものは何だろうか。
知りたいという気持ちだけを自分の中に残して、少女という人間を描いてみたいと思う。



2010年10月 大槻 香奈