neutron Gallery - 正月企画 『お正月だよニュートロン』-
2008/1/3 Thu - 13 Sun gallery neutron
出展者:現代美術二等兵、 高橋良 、 加藤元 、鈴木宏樹

2008年の年明けは、現代美術と日本の正月を面白おかしく考え る、ユニークなグループ展。
駄菓子のような美術を志して人気の「現代美術二等兵」、水墨画の奇 才・高橋良、そして京都市立芸大彫刻科の加藤元と鈴木宏樹の異色タッグも注目!
年賀状の様に、どんな作品が届くか乞うご期待。全ての作品を販売し ます。
お年玉持参!




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ギャラリーニュートロン 桑原 暢子

お正月と言えば小学生の頃に楽しみにしていたものがある。それは年賀状だ。同級生からの年賀状、親戚からの年賀状、遠くへ引っ越して行った友達から の年賀状。様々な人達、幅広い年齢層の方々から、多種多様な年賀状が届き嬉しくなったものだ。自分自身ももちろん年末には年賀状を一所懸命に書くわけだ が、当時を振り返ると思い当たることがある。年賀状に描かれた絵柄の種類の多さである。年賀状とはその人の個性が出るものであり、私も「何を描こうか」 「どんなものにしようか」と思案してはわくわくしたものだ。
今回のグループ展出品作家のこれまでの作品を見てもわかる様に、彼らの間に何かしらの関係性や共通点があるわけではない。むしろ大きく異なるタイプの3組 と言えるだろう。個性の全く異なる彼らのお正月をテーマにした展示、それはつまり年賀状のように多種多様なものなのだと考える。年賀状はここに違っている からこそもらって嬉しい、描いて楽しいものなのだ。

現代美術二等兵
京都市立芸術大学美術学部彫刻科卒業の二人組のユニットである。彼らのこれまでの展歴を見てもわかるように、ここ2〜3年の間にかなりの数の個展、グルー プ展に参加し、精力的に作品発表している。ここ2、3ヶ月だけでも大阪、東京、京都というように個展、グループ展をこなす実力派の作家である。そんな彼ら だからこそ二人の作品をもう既に見たことがある方も多くおられるとは思うが、ニュートロンには今回のお正月企画展にて初登場である。
彼らの作品にはだじゃれや物ボケといった様々な種類の笑いの要素が含まれている。それを面白いと思うかくだらないと思うかは鑑賞者にゆだねられているの だ。実際にくだらないことを形にしている作品ではあるが、本当にそれだけの存在なのだろうか、と考えると案外そうでもないのである。くだらないからこそ見 えてくる問題、馬鹿馬鹿しいからこそ考えなければならないことが浮かび上がってくる作品でもあるのだ。

高橋良
特にグロテスクなモチーフを選んで制作されているわけではないのだが、何かしら彼の作品からは恐ろしさや悲しみが滲み出ているように感じるのは私だけだろ うか。また裸体の女性が多く登場するが、妖艶な表情を醸し出しているがしかしどの女性も悲しげで儚げである。そんな彼が描くお正月とはどのようなものが描 かれるのだろうか。やはり艶かしい女性だろうか。それとも今年の干支であるネズミの交尾シーンだろうか。どちらにせよ彼が考えるお正月を見てみたいもので ある。また今回はこちらの要望もあり、絵はがきサイズ、もしくはいつもは使用しない小さいサイズの水墨画を描く予定である。いつもとは違うサイズで高橋良 の作品を楽しめるのもお正月の為せる技なのかも知れない。

加藤元/鈴木宏樹
加藤元の近作は物体を半透明なゴムでぐるぐる巻きにする事によって、物を認識すると言う事を考えさせるというものだった。見た目の美しさというよりもむし ろその内容であり意味合いを重視したもの、つまりはコンセプチュアルアートに強く影響を受けているであろう作品である。
鈴木宏樹が京都アートマップ主催の『裏アートマップ2007 』に出品したものは唾液でチョコレートを溶かし、それを靴下の山に付着させることによって大きな一つの山を作りあげるというものだった。山だろうか、それ とも何かしらの生き物だろうか。どちらにせよおぞましいものである。
彼らのポートフォリオを見ていて感じるのは、彼らのことは一人の作家としての紹介ではなく、一つの作品を通して彼らの事は紹介するしかないのだろうという ことである。もちろん一貫したテーマをもって制作はしているものの、それに対して毎回同じ手法で制作されるわけではない。むしろ毎回何か違ったものを提示 してくるので、見る側としては「次に何が出てくるのだろうか」と期待してしまうものだ。そんな彼らが一つのモチーフを用いてお互いに制作する。つまりは大 喜利である。私の立場からしてみれば「何が出てくるかはわからない」という二人が大喜利をするのだから不安にもなってしまうのだが、そのくらいでないと見 る側にとっても楽しめるものにはならない。またそんな彼らだからこそ、二人の大喜利は一般的に考えられる大喜利になるとは到底考えられない。
どのような大喜利になるのかは見るまでわからないからこそ会場に足を運んで頂きたい。

こ のように書いていても感じる3組の個性の強さ。まさに年賀状の様に、個々異なるイメージ、作風、個性があるお正月企画。年始に届く年賀状のようにそれぞれ の作家のお正月を楽しみたい。また今回の展示ではこれら3組による「おめでたい作品」達を全て販売も致します。皆様、お年玉を手にぜひ会場へお越し下さ い。