neutron Gallery - 2007 企画展 - 『 かけらな夏 』 
2007/8/21Tue - 9/2Sun gallery neutron kyoto
企画展参加作家
林勇気 (映像)/ 衣川泰典 (平面、立体)/ 安藤智 (平面)/ Alex Ashton (平面)/ Lena Revenko (平面)

本展覧会ではneutron企画作家の中から、コラージュ / イメージの断片の再構成 / 日常を思わせるモチーフ群、表現メディアは異なりますが、そのような共通項を持つ作家達を選抜し、展示、販売いたします。映像あり、絵画ありの小作品を展示予定。真夏の暑さを逃れて、ゆっくりとご観賞ください。





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gallery neutron 代表 石橋圭吾

 本展覧会ではneutron企画作家の中から、コラージュ / イメージの断片の再構成 / 日常を思わせるモチーフ群、表現メディアは異なりますが、そのような共通項を持つ作家達を選抜し、展示、販売いたします。映像あり、絵画ありの小作品を展示予定。真夏の暑さを逃れて、ゆっくりとご観賞ください。

出品作家紹介
林勇気は2007年5月、neutronでの展示が好評だった映像作品、「やすみのひのしずかなじかん」を展示形態を変えて出品いたします。架空の地図をなぞり、ピクセルの風景上でカットアウトされた人物がヤマもオチもなくループの旅を繰り広げる・・・、どこか既視感のある、スペクタクルでもなんでもない映像なのですが飽きることなく眺め続けてしまう、秀逸な作品です。
衣川泰典は大量の雑誌のイメージを貼付け、さらにイメージをコラージュのように描画して繋ぎあわせた大作絵画を制作しています。また衣川は大量の蒐集物によるスクラップブックも制作し続けていましたが、近作の絵画では、それらイメージの蒐集物を長大な一平面に展開しぶちまけています。消費の円環を特に声高に叫ぶ必要も無い、前提としてポップしかない世代の、たった一個人の視点の集積を丁寧に展開しているように思えます。今回出品予定のドローイングからはそんな彼の蒐集物の各パーツを見出せる事ができます。また近年制作中の造花へコラージュしたオブジェも展示予定です。
安藤智の近作絵画の多くは動物園でのドローイングを基にして制作しています。彼女は動物達の描写をくり返し、ある視点からのからだ全体、または部分、断片的な描画の形跡から彼女にとって最適な形を見い出し、絵画ではそのベストな形を丹念に描きおこしています。ドローイングからは断片的で刹那的な形の妙、描写の巧さがうかがえますが、絵画においてはそれらの魅力を、色数を押さえたビビッドな色彩で丁寧に再構成された画面から味わうことができます。端的に示すだけのタイトルの付け方も、ユーモラスな形態の描写を引き立てています。
ALex Ashton(イングランド在住)は既製の衣服同士または異素材をコラージュしたテキスタイル作品、またカットアウトしたイメージをシルクスクリーンで刷り、その上から箔や描画を施した絵画、版画作品を制作しています。彼女は生粋の英国人ですが、色彩、構図、展示構成など、作品を構成するものからはどこか日本的な印象を受けます。事実彼女は日本の伝統、文化からの影響はあると語りますが、作品や展示構成には安易な流用や情緒のおしつけはなく、文化、価値観の混合された現代における表現の基幹はどこにあるのか問いかけているように思えます。繋ぎあわされた衣服の作品からはかつてあった身体を意識させない、印象の断片のような衣服の使用です。服とは?という問いかけではなく、流用され、ありえないミックスをされたイメージの中で生きている我々を風刺しているような印象を受けます。
Lena Revenko(イスラエル)は古本を支持体にした絵画作品を制作しています。印刷された文字の上に細密に描かれた象徴的な人物、動物などは本の内容とは直接関係の無いものもあります。彼女が重視しているのは、本の内容への理解と咀嚼ではなく、いつか生み出された数々の言葉、また古びた本の断片が経過されてきた時間に対しての返事でしょう。もとより何が書かれているか、言語を解さない者には理解できませんが、相当年経過された紙の質感、その上に描かれた象徴的な人物描写からは、挿し絵では決して無い何かしらの物語を想起させます。