Gallery - 矢部真知己 展 - 『〜海中空間〜 巨大アクアリウム』
2010/8/17 Tue - 29 Sun gallery neutron kyoto


profile
矢部 真知己 YABE Machiko

【略歴】
1977 大阪府生まれ 
2000 京都市立芸術大学美術学部美術科油画 卒業
2002 京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻油画 修了

【個展】
2004 「10days セレクション」 (INAX ギャラリー2 / 東京)


【グループ展・受賞歴】
2000 京都市立芸術大学制作展・同窓会賞 (京都市美術館 / 京都)
2001 京都市立芸術大学制作展・奨励賞 (京都市美術館 / 京都)
2002 京都市立芸術大学制作展・大学院市長賞 (京都市美術館 / 京都)
2005 「第8 回岡本太郎記念現代芸術大賞展」 (川崎市岡本太郎美術館 / 神奈川)
2008 「JEANS FACTORY ART AWARD 2008」・優秀賞 (高知市文化プラザ かるぽーと / 高知)

【パブリックコレクション】
2001 京都銀行
2008 JEANS FACTORY (高知)

【その他】
2010年7月〜8月 京都芸術センターにて制作



statement
私は「見る」ということをテーマにして、作品を描いている。

私の作品の中では、モチーフとなっている生き物は、必ず画面の中から鑑賞者を見ている。

それは好奇心をもった視線ではなく、ただありのままの現実を見ている視線なのである。動物や魚類、人間の赤ちゃんが、ただじっと世の中や人を観察しているかのように。


昔から、動物園や水族館に行った時や赤ちゃんと接した時に、不思議な違和感があった。言葉は話せないかもしれないが、ほんとうは言葉を話せる私たちよりもずっと、全てのことをわかっているのではないだろうか、という。ただそれを言葉にしないだけで、その視線は何かを示唆しているのではないかとさえ、思っていた。そういった思想は、私が常日頃から人間や動物、すべての物を同等に捉えて見ている姿勢から、生じるものだとも思う。生きものを擬人化する。時には無機物にさえ、魂が宿っているように感じる。私の作品の中では全てのものが生き、全てのものにスポットライトが当たっている。美しいもの、醜いもの、強いもの、弱いもの。

 
動物園や水族館等、人間が作った限られた空間を特に好んで描いている。限られた空間をものともせず、自由に動き回る生きものの様子を描きたいからである。環境、制限にも影響されず、どんな場所でも自由に強く生きたいという、自分の願望を絵の中の生きものに投影している。

私にとって、絵を描くことは現在の自分の状況と対峙するということでもある。キャンバスという“ 楽園”の中の生きものと対峙し、その生きものの視線を通じて、現実という檻に閉じ込められている自分を直視する。生きものの冷やかでありのままの視線は、身動き出来なくなってしまっている自分を解放する道しるべとなるのである。



 
「顕微魚」(イメージ)
2010年 / 91×140p / 油彩、キャンバス