neutron Gallery - 高須 健市 展 『 S U R F A C E 』 -
2010/2/2 Tue - 14 Sun gallery neutron kyoto


Works2
【 Found / Lost (Book) 】
2004年 / marker,book

ある展覧会で「販売目的の作品を作ってくれないか」と依頼された。ちょうどこの時期、私は“ 価値”ということについて考えていので今回は“ 商品価値そのもの”を問う作品を出品しようと考えた。この作品では、市販されている本の「私が定めた情報のみ」を黒いマジックで塗りつぶしてある。そして、その情報が塗りつぶされている本を元と同じ定価で販売した。例えば、成人雑誌の身体、機具類、精液等の性の情報を一冊丸ごとマジックで塗りつぶし、この定価1,000円で売られていた本を黒く塗りつぶした状態にして1,000円で販売した。また、絵本「シンドバット」ではシンドバットだけを黒く塗りつぶして定価の550円で売り、ファッション雑誌からモデルの人物だけを黒く塗りつぶして商品だけしか見る事のできない雑誌を作り、それも定価で販売した。この作品は本によって、初めに「何を見せたくて、何を見せないのか」を決めてから塗りつぶす。人によって価値というものは人それぞれなので、塗りつぶす人が変われば塗りつぶすモノも変わってくるだろう。
私は、いつかこの作品のワークショップをやりたいと思っている。







【 Found / Lost (Internet) 】
2004年 / Internet

アダルトサイト独特の運営方法、宣伝方法、更新方法を全て把握し、どこにでもあるようなアダルトサイトを立ち上げる。
しかし、全ての画像は塗りつぶされており、豊かな肢体を想像する事しかできない。








【 Found / Lost (Poster) 】
2007年 / marker,Poster

様々な居酒屋に貼ってあるビールの販促用ポスター。その時の旬の女性が水着を着てビールを片手に微笑みかける。
企業は「商品イメージ」、タレントは「メディアへの露出」「ギャランティ」であり、純粋な商品による物ではないはずなのに、世間では企業とタレントの蜜月関係を無意識にありがたがる。今回は、ビールをそのまま残し、水着の女性だけを黒く塗りつぶした。すると、女性が消えたのと同時にビールが浮かび上がって見えた。それは単に塗りつぶした事による物ではなく、画面の情報パワーバランスが崩れたことで認識がまったく変わったからだと感じた。
消す行為は同時に浮かび上がらせる行為だと築いた瞬間だった。
私は、この時にタイトルを「Found / Lost 」と決め、シリーズ化する事にした。







【 Found / Lost (Panel) 】
2008年 / marker,Panel

商品の販促用パネルをマジックで黒塗りにする。
現在の商品の販促活動に置いて、商品に対してのイメージキャラクターやタレント等を付ける事はもっとも効果的とされている商法のひとつである。
テレビからは実際に使っているのか疑わしいその商品を持ったタレントが「私はコレ」とアピールし、街に貼られているポスターもタレントとセットになった商品が氾濫している。
私はそれらによって生み出される効果は非常に懸念しているのだが、実際にその商品がキャラクター効果によって売れてしまうのも事実なのだ。
イメージキャラクターやキャンペーンガール等から解放された「商品」。
そこからは何が消え去り、何が浮かび上がるのか。