neutron Gallery - 忠田 愛展 『内側の他者』-
2008/10/28 Tue - 11/9 Sun gallery neutron


profile
忠田 愛  CHUUDA Ai

【略歴】
1981 大阪生まれ
2000 同志社大学文学部文化学科美学及び芸術学専攻中退
2001 京都造形芸術大学芸術学部美術・工芸学科日本画コース入学
2005 京都造形芸術大学芸術学部美術・工芸学科日本画コース卒業
2005 京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術表現専攻修士課程入学
2006 イタリアに短期留学(9月〜10月)
2007 京都造形芸術大学大学院芸術研究科芸術表現専攻修士課程修了
現在  京都造形芸術大学非常勤講師

【個展・主なグループ展】
2003 日本画・陶芸・彫刻4人展 / 京都ロイヤルホテルFABLE TABLE 内アートスペース(京都)
2005 日本画・陶芸2人展 / ギャラリーマロニエ(京都)
2004 グループ展 / ギャラリーマロニエ(京都)
2005 卒業制作展 奨励賞受賞 / 京都市美術館(京都)
2005 第3回トリエンナーレ豊橋星野眞吾賞展入選
2006 X’ hibition#3 / ギャラリーRAKU(京都)
2005 国際芸術展 / 韓国現代美術館、弘益大学(韓国)
2005 個展 / ギャラリー風(大阪)
2005 京都造形芸術大学にて作品『夢多き眠りに』買上げ
2007 修了制作展 大学院長賞、混沌賞受賞 / 京都造形芸術大学Gallerie Aube(京都)
2005 国際公募墨画トリエンナーレ富山2007入選
2005 混沌から躍り出る星たち展 / スパイラルガーデン(東京)
2005 第11回公募新生展新生賞受賞
2005 画心展 / 京都府立文化芸術会館、銀座、洋協ホール
2008 羅針盤セレクション 様々な日本画六人展 / アートスペース羅針盤(東京)
2005 個展 / ギャラリー歩歩琳堂(神戸)
2005 ふりつもる線 / 言葉 Live Drawing(忠田愛)+Poetry Reading(高橋利哉) / ギャラリージャック&豆の木(鎌倉)



statement

【これまでの制作の視点】

この世に変わらぬものなどない。
物質の変化、そこには凝縮された時間がある。
何かと自分が時間を共に過ごし、同化してゆく感覚、絵をつくることは時間を積みあげていくことでもある。
塗っては削ぎ落とし、つくっては壊す。
ふりつもる音楽のような線をひきたい。
ゆるやかな変化の可能性を孕んだものをつくりたい。
そして、たとえものに物理的なかたちが消滅したとしてもなくならないもの、のこっていくものがあることを私は信じている。
それはきっと、ものに宿る精神のようなものだ。

 

【素材について】

麻布に陶土を塗布したものを支持体とし、時にそこに小さな紙を貼り、土性顔料、岩絵具、墨、獣骨炭で絵を描いている。描いていく過程では水で洗い流したり、火で焼き焦がしたり、土を削りとったりもする。しかし、あくまで私の興味は素材を見せることではなく「描くこと」にあり、私にとって素材は五感に訴え、より実感をもちながら描くための手段のひとつだと思っている。

 

【個展の新作について タイトル「内側の他者」】

自分の内には多くの他者が棲んでいる。生きている人、そして多くの死者。改めてそれを思う出来事があった。
7月のある日、4年近く描き続けている友人の祖父が亡くなった。家族ぐるみの付き合いで自分にとっては第二の祖父のような存在だった。私は彼を慕い、ある時は彼を通して自分の亡き祖父を見、また人間や風景を思ってきた。
絵を通して彼は私の一部になったような気がするし、血の繋がりとはまた違う特別な存在だった。
いつかものに物理的なかたちが消滅すること、それは自分のテーマの中にもあり、常々思ってきたことだったが、実際にずっと描いてきた特別な人が亡くなったことは想像以上に自分を揺らした。それは彼が生きていた時に描いていた感覚とは非なるものだった。像が立ち現れると同時に消えていき、たしかな線が引けなくなった。かたちをとるというこへの不信感が募り、今まで自分の中にあったものも小さく霞んで見えなくなった。それでも、絵を描きたいという気持ちだけはこれまでにないほど強くあった。
わからないならわからぬことを描くしかないと思った。彼の死の直後から、構図も大きさも同じ絵を日記のように何枚も描き、同じ制限のなかで試み続け、内側の他者としての彼の断片をつむぎあわせる中で何かが手に残ればいいと思った。
死と生、それは自分にとってまだまだ捉え切れぬものであるし、問い続けていかなくてはならぬものだと思っている。ただ今は、死を纏った儚さをのみこむこと、そこに一筋の閃光のような生を思っている。