neutron Gallery - 三瀬夏之介 展 『私は奈良で考える』 - 
2004/9/20mon - 26sun 京都新京極 neutron B1 gallery


Artist , Works

 奈良が大嫌いで大好きだ。奈良に生まれ落ちたことは宿命だと思うが、新興住宅地で生まれ育った私のまわりには土地に根ざしたものはほとんど見あたらなかった。歴史的遺産の乱立する異様な風景。やっとそれに対峙できるような気がしている。
 そこにいるとそこの状況というものは見えないものだが、どうやら奈良という場所は雑音の少ない場所のようだ。欲しい画材がない、美術書も売っていない、一線のアートを体感できるスペースもない。そんな場所でなぜつくり続けるのか?ないものだからつくる、つくりたいからつくる、といった自明のことが、ここにいるといつも突きつけられてくる。
 今回の出品作のひとつに『奈良町考』という一連のシリーズがある。奈良の町を歩き回り、買ったり、拾ったり、もらったりしたものでつくりあげたものだ。絵画における支持体、顔料、接着剤、そこから疑い、新たにつくりあげていかなくてはと感じている。